春の養生と春のレシピ4選(加藤先生より)

◆春の期間

中医学では、立春から立夏(5月6日頃)までの6節気を含む3ヶ月間を言う。

【立春】(2月4日頃)  【雨水】(2月18日頃)  【啓蟄】(3月5日頃)

【春分】(3月21日頃) 【清明】(4月4日頃)   【穀雨】(4月20日頃)

 

◆春の特徴

1.春は「発陳:はっちん」「黄帝内経 素問/四氣調神大論」陽気が生まれる

古い物から新しい物・生命が生まれる状態をいう。

自然界では天地の生気が動き始める。

人体内でも陽気が多くなって新陳代謝が活発になり冬に貯えたものをいよいよ使い始める時期となる。

2.「三寒四温」、木の芽時、気温や気圧の変化が激しい、陰から陽へ・静から動へ

3.「風」の季節→六因の邪気「風邪:ふうじゃ」が春の特徴

 

◆春の特徴「黄帝内経素問 陰陽五行色体表」より

春の象徴 上に向かってすくすく伸びる、成長・発育する様子

春の主気:風 春になると暖かい風が東から吹く

風邪は陽邪なので上に上りやすく、頭面部や上半身に症状が現れやすい

新緑・若葉などの緑:若いもの、未熟なものを指す

収斂固渋作用、肝に作用し、精神をのびのびさせる。

酸味の取りすぎ脾胃の働きを抑制して、消化吸収能を低下させる

日が昇る方位、「成長」「繁盛」「生」または「復活」を象徴

春は肝、肝気は春に活発になる、疏泄・蔵血・精神活動をつかさどる

胆の決断によって、肝が生み出した思いが実行に移される

肝血で滋養され、筋とその運動すべてが肝に統率される

めまい、目のかすみ、目の乾燥、夜盲症など

肝は思考活動をコントロールする、肝機能失調で怒りやすく精神不安定になる

 

◆春のすごしかた

1.「踏春:とうしゅん」 

2.「防風」

3.「少酸加甘味、補助脾気」

4.「苦味(にがみ)」

 

◆春の体をに対応する食材・生薬

疏肝

肝気の滞りを除いてめぐりをよくし、うつ状態の肝の機能を改善する

薄荷、春菊、みかん、菊花、茉莉花、うこん、玫瑰花

平肝

肝の機能亢進症状を改善する

セロリ、枸杞の葉、はまぐり

活血

血の流れを良くする

黒豆、山楂子、黒クワイ、菜の花、クレソン、青梗菜、パセリ、にら、レタス、酒、酢、桃仁、紅花

補血

血を補うこと=益血、養血

金針菜、竜眼肉、ナツメ、小麦、黒豆、ゴマ、松の実、、キャベツ、にんじん、ほうれん草、ブドウ、黒木耳、枸杞子、当帰、桑の実、地黄、何首鳥

健脾

脾胃の機能を正常にする

米、トウモロコシ、ジャガイモ、山芋、サツマイモ、小豆、エンドウマメ、ソラマメ、蓮の実、カボチャ、インゲン、さやえんどう、椎茸、白キクラゲ、イチジク、ナツメ、はと麦

清熱

身体の内部の熱を冷ます

タケノコ、苦瓜、レモン、緑茶、セロリ、トマト、豆腐

参考文献:「黄帝内経 素問」四気調身大論より 

 

紅棗生姜茶

《材  料》6人分

紅棗 10g(果肉にナイフを入れておく)

乾姜 5g

水4C

A 乾姜粉末小さじ1、生羅漢果液 大さじ1

《作り方》

  • 水に材料の二種類の生薬を入れ、30分浸水させてから中火で火をつけ、沸騰したら小火に落として30分ほど煎じてから、火を止めます。
  • 熱いうちに濾してAを加えていただきます。

 

★紅棗生姜茶の効用

袪風散寒、利血通絡、養血安神、女性暖宮、壮経通絡、改善経痛、排毒養顔

 

◆生姜について

鮮生姜:生のショウガ:止嘔作用

乾生姜:乾燥させたショウガ:パウダーもある

乾姜:生のショウガを蒸したのち、刻んで乾燥させたもの:温性が持続する

炮姜(ほうきょう):鉄板の上で炭の状態になるまでおいたもの、そのまま飲む

生姜皮:(涼性)

食材名(生薬名)

四気/五味

帰経

効      能

乾姜

辛、熱

脾、胃、心

温中散寒、回陽通脈、温肺化飲

       

 

◆なつめ:紅棗
食効:脾臓を補い、胃の働きを助けて唾液の分泌を促すので食欲不振、虚弱体質からくる軟便、腹痛、身体の疼痛、喉の痛み、筋肉の痙攣

女性の精神不安症、高血圧、子供のアレルギー、不眠、更に鉄分が多いので貧血症、生理不順、習慣性流産などにもよいとされています。

大棗

甘、平(温)

脾、胃

補中益気、養血安神、諸薬調和、筋力増強、肝臓保護作用

 

蓮子、紅棗、南瓜の小米粥

《材  料》4~5人分

A 米、粟米 各1/2C、水6C

B 蓮子30g、ナツメ6個(浸水)

C 南瓜 100g(3cm角に切る)、ユリ根

D 長ネギ(白)10cm(みじん切り)腐乳(適量)

 

《作り方》

  • Aの米を洗い、水に30分、浸水させます。
  • ①にBを加えて蓮子が柔らかくなるまで弱火で加熱し、Cを加えて材料が柔らかくなるまでさらに煮込みます。

(ユリ根が柔らかくなりすぎないように)

  • 器によそい、Dを加えてすすめます。

 

蓮根ボール

《材料》6人分

蓮根500g(すりおろす)  緑豆春雨 150g(1cm位に切る)

A 小麦粉1/3C、酒 大1、塩 小1

B 生姜、ニンニク各1片(みじん切り)  玉葱 中1個(薄切り)

朝天唐辛子 1本(細く千切り)     スナップエンドウ 6本(斜め切り)

胡麻油 大1

 

《作り方》

①蓮根にAを加えて良く練り、直径2cm 位に丸め、水溶き片栗粉にくぐらせ揚げ油で揚げておきます。

蓮根ボールは蓮根の澱粉質が加熱により適度な歯ごたえで固まりモチモチ感が出ておいしい蓮根の定番料理です。

 

棗(なつめ)とピーナッツの丸ごと煮

《材  料》8人分

A 棗・・・・・16個

  生落花生・・・・・150g(1 1/2C)

B 水・・・・・3C

  クコみりん・・・・・小1

  塩・・・・・小1/4

《作り方》

①Aを洗いBに一晩浸しておきます。

②①を火にかけ、1/2Cづつの差し水をしながら柔らかくなるまで煮ます。

③煮汁はひたひた位まで煮詰め、材料が汁に浸る程度で火を止め、そのまま更に一晩おき十分に汁を吸わせます。

 

いただき方は、一回に棗4個、ピーナッツ10粒程度を一日一回です。

 

☆ピーナッツには、腎を補う作用があります。そのほか、心臓病や動脈硬化を予防する効果もあります。その上、免疫力増進作用と造血作用に優れて居ます。 再生不良性貧血、紫斑病、白血病などの一連の血液のガンに属する病気は、骨髄、脾臓、リンパ節などの造血器官の働きが極端に低下して血小板が減少してしまう病気です。

 ピーナッツには、これらの臓器を活性化させる働き、とくに皮には、血小板を増やす作用が認められています。食材として治療を補助する食事療法に活用できるでしょう。

☆煮物のほかに、スープにして飲むこともおすすめです。

棗4個を500ccの水でドロドロになるまで煮たところに、皮つきピーナッツ10個(一晩浸した物)を、ミキサーでなめらかにクリーム状にして加え混ぜながら半量になるまで煮詰め、少量の塩を加えて、一日1回飲みます。

この他、日常は、皮をむかずに皮のまま食べるようにしましょう。

ピーナツツ

甘、平

脾、肺

潤肺、和胃、止咳、利尿、下乳、

健脾、養血止血、潤腸通便、化痰

2022年2月  加藤ゐくこFamily62 コピー及び転載を禁止いたします。

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