国際中医薬膳指導師の加藤ゐくこ先生(プロフィールは、文末に記載)に、以下の薬膳コラムを書いていただきました。
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薬膳は、今から3000年ほど前にまとめられた「黄帝内経・素問:こうていだいけいそもん」をひも解き、宇宙や大自然の運行と人体の関係を学ぶことにより、そこからの知恵を日々の生活に生かし、実践することから始まります。
「四気調身大論篇」には、春夏秋冬、季節ごとの養生法が述べられています。
例えば、二十四節気では、5月の立夏から8月の立秋までを「夏」としていますが「素問」では夏を「蕃秀:ばんしゅう」と言う言葉で表し養生法を述べています。
「蕃秀:ばんしゅう」とは草木が生い茂る様・・・強烈な太陽と高い気温の下では草木が生い茂り、人体では髪や爪がよく伸びる生命力旺盛の状態となることは、実生活でも体験していることではないでしょうか?
このような季節では、大いに体を動かし、汗をかいて体内の余分な水分と蓄積した毒素を排出させて、次の三か月の秋に備えるのが良い!とされています。
食生活では、ウリ科のきゅうりや、茄子、トマト、トウモロコシなどの夏野菜を積極的に、穀物では未精白の米(五分搗き米など)、ハトムギや雑穀の主食、濃厚な動物性の脂肪などは代謝に負担がかかるので少な目にして日本の多湿の気候にも快適に過ごせるようにすることが大切となります。
薬膳の調理では、使われる食材の性質;五味(酸、苦、甘、辛、鹹(塩)、帰経(食材が五臓のどこに作用するか)、効能(体にもたらす効果)を調べてトータルに五臓六腑に効能が行きわたるように組み合わせます。
なので、食後の体への巡り方が効果的になり、薬膳の醍醐味を感じていただけると思います。
6月の薬膳はきゅうりの特性を生かし、ナツメの効能とあわせて、体の養生に役立ててみました。
五味五色で五臓を守る
きゅうり2本(2021年6月末の時点で、良いきゅうりが収穫され始めた時期であったため)
なつめ 12個(種を除き千切り)
エノキ茸100g
A 塩麹大さじ3、米酢1/3C、黒粒胡椒6粒、クローブ3個、
ローレル2枚、羅漢果顆粒大さじ2
B ミカンの皮(生薬の陳皮5g)30g(千切り)、生姜1片(千切り)、
松の実10 g(熱湯に通す)
C 青紫蘇の葉 5枚(千切り)
《作り方》
① Aを鍋に入れ、さっと沸騰させ、冷ましておきます。
② きゅうりを板ずりして横二等分、縦3cmに切り、さっと塩を振り揉んで軽く重石をして1時間ほどおきます。(ジャバラに切り込みを入れると良い)
③ ②のきゅうりをさっと洗い、充分に水切りしておきます。
④ ①になつめ、エノキ茸、③とBを浸して1時間ほど漬けてCを散らしてすすめます。
●食材解説
※2021年6月 加藤ゐくこ Family62 コピー及び転載を禁止いたします。
http://www.sansho.org
1943年(昭和18年)2月7日生れ 東京都出身:
1963年(昭和38年)3月 恵泉女学園短期大学 英文科 卒業
職歴
1963 ~1966年 山形放送(株) アナウンス部 勤務
1966 ~1968年 ニッポン放送(株) アナウンス室 勤務
1968 ~フリーアナウンサー
資格
1979年 森下フードコンサルタント
1980年 森下自然医食料理講師
1983年 桜沢流新普茶料理師範(リマクッキングスクール卒業・講師)
1988年 日本CI協会 正食医学講座修了
1988年 日中薬膳交流協会講師(薬膳コーデイネーター)
2000年 総合漢方研究会医学堂 薬膳部講師(根本幸夫先生に師事30年)
2008年 国際中医薬膳指導師(浙江中医薬大学、薬物研究所認定)
2017年12月 横浜薬科大学漢方和漢薬調査研究センター 学外特別研究員
活動状況
クッキングスタジオ FAMILY62 主宰(1980~)
ベジフル中医薬膳塾 主宰
リマクッキングスクール ゲスト講師(マクロビオテイックの薬膳を担当)
らでいしゅぼーやスタジオ@青葉台 薬膳講師(10年担当し、現在:藤が丘薬膳塾主宰)
読売文化センター錦糸町 薬膳講師(荻窪、北千住などを合わせて 20年以上開催)
レストランメニュー、商品開発コンサルタント
著書「シュガーレスクッキング」(共著)
「ベジタ薬膳」まどか出版、「野菜の塩麹薬膳」ロータスエイト
電子版「ベジの薬膳35」コギトスム出版
「はいから」「メニューアイデア」等雑誌掲載多数
家族 夫、息子、娘(各家庭持ち)
趣味 料理、中国、韓国、台湾などの食研修の旅(合わせて40回以上)
※2021年6月 現在