冬の養生(加藤先生より)

●冬の期間                                                      

中国医学では、立冬から大寒までの6節気、11〜1月の3ヶ月間を冬に分類する

【立冬】(11月8日頃)    【小雪】(11月22日頃)

【大雪】(12月7日頃)    【冬至】(12月22日頃)

【小寒】(1月6日頃)     【大寒】(1月21日頃)

 

●冬の特徴:閉蔵

閉蔵とは閉ざしておさめる〜の意で、秋に収穫した作物を冬には蔵にしまって扉を閉じるように、万物が春の芽生えのためのエネルギーを収めて閉じこもった状態。

 

●冬に出やすい症状                                                

1.「寒冷」

①陰邪——易傷陽気(陽気不足で冷える)

②凝滞——不通則痛(通じざれば気機失常して引きつり痛む)

       気血津液の巡りを滞らせて血行不良などを引き起こす

③収引——皮膚・筋肉・血管などを収縮・緊張させる

 

2.腠理が閉じる→腎炎や遺尿尿失禁、水腫などに罹りやすい

①汗が出にくい

②皮膚の乾燥やひび割れ   

 

●冬のすごしかた                                                  

冬季の養生は、「陰を収めて陽を集める」を第一にゆっくりと辛抱強く春を待つ心を養う。

1.「早寝遅起、必待陽光」(「素問・四氣調神大論」

夜は早く寝て、朝も日が昇り外気がある程度あたたまるまでは起き出さないこと。

志や欲望など色々な思いもあまり表に出さず、次の春までゆっくりと自分の中で温めておくこと。

心身ともに過労を避け保温に努め、皮膚から気がもれて逃げないようにすること。

そうすれば生命力である人体の陽気を貯蔵し、養陰して精を蓄えることができる。

この冬の養生法を怠り腎気を傷めれば、春になっても陽気が発動できず、四肢のだるさや足のしびれ、腰痛などの症状が出る。

2.「温腎補陽、防寒就温」〜冬は養腎・防寒を第一に考える 

冬の臓「腎」はとくに寒冷に弱いので、衣食住ともに身体を温め、気や血の巡りをよくし、陽気を補い、腎の機能を促進して「精」を養うことを心がけること。現代は逆に、室内温度の高過ぎや衣服の重ね過ぎによって皮膚の毛穴が開き風邪を引きやすくなったり、汗をかいて陽気が潜むことができなくなるので注意したい。

貝原益軒(江戸時代・「養生訓」「大和本草」著者)はこれを「冬温かなることを極めず」と指摘している。

3.「防燥」

水を溜める臓でもある腎は「燥」を嫌うので、秋に引き続きこの時期も乾燥を防いで(湿度を40%に保つ)腎(とくに下半身と背部)を守りたい。保湿は、風邪予防に効果的。

4.「少鹹多苦、補助心気」〜苦味(瀉火・降下・堅陰作用で心火亢進・陰の消耗を防ぐ)で心気を養う

冬は補陰・潤下作用の鹹味で腎機能を助ける食養が基本となる。しかしこの時期は水・腎が旺盛になって火・心を剋しやすい。それでなくても寒冷期の心は、寒さに対して体温を上げたり、毛細血管の収縮で血圧が上昇したりして負担が増加するので、狭心症・心筋梗塞などの心臓疾患や高血圧、脳卒中が発症しやすくなる。鹹味摂取過多に気をつけ、苦味をバランスよくに摂って、心の働きを助ける必要がある。

2021年12月 加藤ゐくこ Family62 コピー及び転載を禁止いたします。

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